重度障害者等包括支援について(令和3年4月改定による報酬基準の概観)

 

重度障害者等包括支援(障法第5条第9項) の令和3年4月改定による報酬基準の概略は、以下のとおりとされています。

 

8−1 報酬単価(令和3年4月~)

 

(1)基本報酬

<基本報酬単位:1−4単位増のプラス>

1)基本報酬単位

i) 居宅介護、重度訪問介護、生活介護等

a) 203単位(1時間未満)

b) 303単位に30分を増すごとに+100単位(1時間以上12時間未満)

c) 2,501単位に30分を増すごとに+98単位(12時間以上24時間未満)

ii) 短期入所   a) 953単位/日

iii) 共同生活介護(外部サービス利用型除く)   a) 1,003単位/日

 

2)対象者要件

i) 「寝たきり状態にある者」に係る対象者要件の緩和

a)「寝返り」だけでなく、「起き上がり」又は「座位保持」において全面

的な支援が必要と認定された場合にも対象となるよう要件緩和。

ii)対象者の判定基準

a)認定調査項目「1群 起居動作」のうち、「寝返り」、「起 き上がり」又は

「座位保持」において「全面的な支援が必要」と認定

 

(2)加算と減算

 

1)加算

 

1−1)重度障害者等包括支援で実施する訪問系サービス等の地域生活支援拠点

等に係る加算

<加算項目増・加算単位50単位増のプラス>

i) 加算単位

a)緊急時対応加算1回につき100単位加算の算定時に、地域生活支援拠点

等の事業所として、新設分として、更に+50単位を上乗せ。

ア)緊急時の対応を行った場合にのみ加算(月2回を限度)

ii) その他諸条件については、重度訪問介護と同様。

 

1−2)重度障害者等包括支援で実施する短期入所の地域生活支援拠点等に係る

加算

<加算項目増・加算単位100単位増のプラス>

i) 加算単位

  1. a) 指定短期入所のサービス利用開始日に、利用者全員について、利用開始

日の1日につき100単位を加算。

ア)緊急時の対応を行った場合だけでなく、緊急時の受入に限らず加算

ii) その他諸条件については、短期入所と同様。

 

1−3)重度障害者等包括支援で実施する自立生活援助の地域生活支援拠点等に

係る加算 (自立生活援助のみ)

<加算項目増・加算単位50単位増のプラス>

 

  1. i) 加算単位

a)緊急時支援加算(I)の1日につき711単位加算の算定時に、地域生活

支援拠点等の事業所として、新設分として、更に+50単位を上乗せ。

ア)緊急時の対応を行った場合にのみ加算

ii)緊急時における対応機能強化としての自立生活援助のみの地域生活支援拠

点等に係る加算

iii)障害者の重度化・高齢化や親亡き後を支えるための地域生活支援拠点等と

しての事業所等について、緊急対応の役割を担う評価の加算を創設

iv) 自立生活援助の地域生活支援拠点等に係る加算とは、緊急時対応加算算定

を行い、地域生活支援拠点等の場合

a)地域生活支援拠点等の場合とは、地域生活支援拠点等の機能を担うとし

て市町村が登録認定した事業所。

 

1−4)重度障害者等包括支援で実施する短期入所の医療連携体制加算

<加算要件拡張・加算項目増・加算単位数拡充・加算単位増のプラス>

 

i)加算単位

イ 医療連携体制加算(I) 32単位/日(非医療的ケア、1時間未満)

ロ 医療連携体制加算(II) 63単位/日(非医療的ケア、1時間以上2時間未満)

ハ 医療連携体制加算(III) 125単位/日(非医療的ケア、2時間以上)

二 医療連携体制加算(IV)(4時間未満)

(1) 960単位/日(医療的ケア1人)

(2) 600単位/日(医療的ケア2人)

(3) 480単位/日(医療的ケア3~8人)

ホ 医療連携体制加算(V)(4時間以上)

(1) 1,600単位/日(医療的ケア1人)

(2) 960単位/日(医療的ケア2人)

(3) 800単位/日(医療的ケア3~8人)

ヘ 医療連携体制加算(VI)(8時間以上)

(1) 2,000単位/日(高度な医療的ケア(※)1人)

(2) 1,500単位/日(高度な医療的ケア(※)2人)

(3) 1,000単位/日(高度な医療的ケア(※)3人)

(※)医療的ケアの判定スコアが16点以上の障害児者

ト 医療連携体制加算(VII) 500単位/日

チ 医療連携体制加算(VIII) 100単位/日

 

  1. ii) 医療連携体制加算の算定要件や報酬単価の見直し

a)従来、看護の濃度に関わらず一律単価であった加算額について、医ケアと非医ケアを内容により分類するとともに、医療的ケアの単価を充実させ、非医療的ケア(健康観察等)の単価の適正化を図る。

b)複数利用者対象の健康観察等の非医ケアに短時間区分を創設。

  1. c) 通常は看護師配置がない福祉型短期入所について、高度な医療的ケアを長時間必要とする者の受入れ可能となるよう、新単価(8時間以上2000単位)を創設。

 

1−5)重度障害者等包括支援で実施する共同生活援助の医療連携体制加算

<加算要件拡張・加算項目増・加算単位数拡充・加算単位増のプラス>

 

i)加算単位

イ 医療連携体制加算(I) 32単位/日(非医療的ケア、1時間未満)

ロ 医療連携体制加算(II) 63単位/日(非医療的ケア、1時間以上2時間未満)

ハ 医療連携体制加算(III) 125単位/日(非医療的ケア、2時間以上)

二 医療連携体制加算(IV)

(1) 800単位/日(医療的ケア、利用者1人)

(2) 500単位/日(医療的ケア、利用者2人)

(3) 400単位/日(医療的ケア、利用者3~8人)

ホ 医療連携体制加算(VII) 500単位/日

ヘ 医療連携体制加算(VIII) 100単位/日

 

  1. ii) 医療連携体制加算の算定要件や報酬単価の見直し

a)従来、看護の濃度に関わらず一律単価であった加算額について、医ケアと非医ケアを内容により分類するとともに、医療的ケアの単価を充実させ、非医療的ケア(健康観察等)の単価の適正化を図る。

b)複数利用者対象の健康観察等の非医ケアに短時間区分を創設。

  1. c) 通常は看護師配置がない福祉型短期入所について、高度な医療的ケアを長時間必要とする者の受入れ可能となるよう、新単価(8時間以上2000単位)を創設。

d)共同生活援助における看護師の確保に係る医療連携体制加算について、看護師1人につき算定できる利用者数の上限(20名まで)を設定。

 

1−6)処遇改善加算

 

1−6−1)福祉・介護職員処遇改善加算(I)-(III)

<加算率2.6-6.4%増のプラス>

i)加算単位

イ (I) 所定単位数 × 8.9%

ロ (II) 所定単位数 × 6.5%

ハ (III) 所定単位数 × 3.6%

ii)要件

a)福祉・介護職員数、加算率、算定要件の一つ「職場環境等要件」

ア)諸条件については、居宅介護と同様。

 

1−6−2)福祉・介護職員等特定処遇改善加算

<加算率3.6%増のプラス>

i)加算単位

a)所定単位数× 6.1%

ii)要件

a)更なる取得促進、配分ルール、加算率、算定要件の一つ「職場環境等要件」

ア)諸条件については、居宅介護と同様。

 

2)減算

 

2−1)身体拘束廃止未実施減算・新規分

<減算項目増・減算単位増のマイナス>

i)減算単位

a) 1人1日につき5単位を減算(令和5年4月から適用)

ii)その他諸条件については居宅介護等の訪問系サービスと同様。

 

(2)組織経営への影響

 

1)正の影響

a)基本報酬、重度障害者等包括支援で実施する訪問系サービス等の地域生活支

援拠点等に係る加算、重度障害者等包括支援で実施する短期入所の地域生

活支援拠点等に係る加算、重度障害者等包括支援で実施する自立生活援助

の地域生活支援拠点等に係る加算、重度障害者等包括支援で実施する短期

入所の医療連携体制加算、重度障害者等包括支援で実施する共同生活援助

の医療連携体制加算、福祉・介護職員処遇改善加算(I)-(III)、福祉・介護

職員等特定処遇改善加算

 

2)負の影響

a)福祉・介護職員処遇改善加算(IV)-(V)、福祉・介護職員処遇改善特別加算、

身体拘束廃止未実施減算・新規分