施設入所支援について(令和3年4月改定による報酬基準の概観)

 

施設入所支援(障法第5条第10項) の令和3年4月改定による報酬基準の概略は、以下のとおりとされています。

 

7−1 報酬単価(令和3年4月~)

 

(1)基本報酬

<基本報酬単位: 1単位増のプラス>

1−1)基本報酬単位

i) 基本単位数は、事業者ごとに利用者の1利用定員の合計数及び2障害支

援区分に応じ所定単位数を算定

ii)定員40人以下の場合

a)区分6:459単位/日  b)区分5:387単位/日  c)区分4:312単位/日

d)区分3:236単位/日  e)区分2以下(未判定の者を含む):171単位/日

 

(2)加算と減算

 

1)加算

 

1−1)重度障害者支援加算

<加算要件変更・加算単位数のマイナス>

 

1−1−1)重症心身障害者全般について

 

i)加算単位

ロ 重度障害者支援加算(II)

(二) 夜間支援を行った場合:180単位/日

※ (二)について、加算の算定を開始した日から起算して180日以内は

+500単位/日

 

ii)重度障害者支援加算の見直し評価

  1. a) 利用者の状態確認や利用者が環境の変化に適応するためのアセスメント

期間を一定程度見直し、加算算定期間の延長及び加算の単位数を見直すことで評価。

 

iii) 重度障害者支援加算(II) の(二)夜間支援を行った場合の更なる加算

  1. a) 重度障害者支援加算(II) の(二)夜間支援を行った場合について、加算の算定を開始した日から起算して180日以内は利用者1人1日につき、更に500単位を加算。

 

1−1−2)強度行動障害者について

 

i)強度行動障害者の加算算定期間の延長及び加算の単位数の見直し

  1. a) 障害支援区分4以上の強度行動障害を有する者に対して個別の支援を行う

場合の、利用者の状態確認や利用者が環境の変化に適応するためのアセスメント期間を一定程度見直し、加算算定期間の延長及び加算の単位数の見直し。

ア)算定期間:(現行) 90日 →(改正後) 180日

イ)単位数: (現行)700単位 →(改正後)500単位

 

1−2)経口移行加算

<加算要件縮減のマイナス、加算要件範囲拡張のプラス>

 

  1. i) 摂食・嚥下機能支援の充実と経口移行加算の要件の見直し評価

a)経口移行加算について、咀嚼能力等の口腔機能及び栄養状態を適切に把握しつつ、口から食べる楽しみを支援するための多職種による取組プロセスを見直し評価。

  1. b) 但し書きの追加による要件の制限項目の追加

ア) 指定障害者支援施設等において、医師の指示に基づき、医師、管理栄養士、看護師その他の職種の者が共同して、現に経管により食事を摂取している 入所者ごとに経口移行計画を作成している場合であって、当該計画に従い、医師の指示を受けた管理栄養士又は栄養士が、経口による食事の摂取を進めるための栄養管理を行った場合には、当該計画が作成された日から起算して180日以内の期間に限り、1日につき所定単位数を加算する。

ただし、この場合において、栄養マネジメント加算を算定していない場合は、算定しない。

 

  1. ii) 障害福祉現場の業務効率化のためのICT活用による経口移行加算の

要件範囲の拡張

a)経口移行計画を作成するに当たって、医師の指示に基づき、医師、管理栄養士、看護師その他の職種の者が共同する場面について、テレビ電話装置等を活用して行うことが可能に。

 

1−3)療養食加算

<要件範囲拡張と制限項目削減のプラス>

 

  1. i) 療養食加算の要件の見直し評価による要件範囲の拡張と制限項目の削減

a)管理栄養士又は栄養士が配置されている指定障害者支援施設等において、 別に厚生労働大臣が定める療養食を提供した場合に、1日につき所定単位数を加算。

b)療養食加算と、経口移行加算又は経口維持加算とは非関連に。

ア)但し書き「ただし、この場合において、経口移行加算又は経口維持加算を算定している場合は、算定しない。」の削除による。

c)管理栄養士の職種追加

 

1−4)経口維持加算

<加算単位増・加算要件範囲拡張のプラス>

 

i)加算単位

イ 経口維持加算(I):400単位/月

ロ 経口維持加算(II) :100単位/月

 

  1. ii) 摂食・嚥下機能支援の充実と経口維持加算の見直し評価
  2. a) 経口維持加算について、咀嚼能力等の口腔機能及び栄養状態を適切に把握しつつ、口から食べる楽しみを支援するための多職種による取組プロセスを見直し評価見直し。

 

iii) 経口維持加算(I)について

a) 1月につき400単位を加算

  1. b) 経口維持加算(I)の要件

ア)経口維持計画の作成

α)指定障害者支援施設等において、医師又は歯科医師の指示に基づき、

医師、歯科医師、管理栄養士、看護師その他の職種の者が共同して、入

所者の栄養管理をするための食事の観察及び会議等を行い、摂食機能障

害を有し、誤嚥が認められる入所者ごとに入所者の摂食・嚥下機能に配

慮した経口維持計画を作成している場合

イ)栄養士等の特別管理

α)当該計画に従い、医師又は歯科医師の指示(歯科医師が指示を行う場合

にあっては、当該指示を受ける管理栄養士等が医師の指導を受けている

 

場合に限る。)を受けた管理栄養士又は栄養士が、継続して経口による食事

の摂取を進めるための特別な管理を行った場合

ウ)加算期間

α)当該計画が作成された日の属する月から起算して6月以内の期間に限

り、1月につき所定単位数を加算。

エ)非算定項目

α)ただし、この場合において、経口移行加算を算定している場合又は栄

養マネジメント加算を算定していない場合は、算定しない。

 

  1. iv) 経口維持加算(II)について

a) 1月につき100単位を加算

  1. b) 経口維持加算(II)の要件

ア)経口維持加算( I) の算定

α)協力歯科医療機関を定めている障害者支援施設等が、経口維持加算( I)

を算定している場合、

イ)食事の観察及び会議への医師等の参加

α)入所者の経口による継続的な食事の摂取を支援するための食事の観察

及び会議等に、医師(指定障害者支援施設基準第4条第1項第1号に規定

する医師を除く。)、歯科医師、歯科衛生士又は言語聴覚士が加わった場合

ウ)加算期間

α)1月につき所定単位数を加算。

 

  1. v) 障害福祉現場の業務効率化のためのICT活用による経口維持加算の

要件範囲の拡張

a)経口維持計画を作成するに当たって、医師又は歯科医師の指示に基づき、医師、歯科医師、管理栄養士、看護師その他の職種の者が共同して、入所者の栄養管理をするための会議等について、テレビ電話装置等を活用して行うことが可能に。

 

1−5)口腔衛生管理体制加算

<加算項目増・加算単位30単位増のプラス>

 

  1. i) 加算単位

a)1月につき30単位を加算

ii)口腔衛生管理の充実と口腔衛生管理体制の評価

a)歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、職員に口腔ケアに係る技術的助言を行っている場合等に口腔衛生管理体制の評価を行う加算を創設。

iii) 口腔衛生管理体制加算の要件

a)別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして都道府県知事に届け出た指定障害者支援施設等において、歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、施設従業者に対する口腔ケアに係る技術的助言を月1回以上行っている場合に、1月につき所定単位を加算。

 

1−6)口腔衛生管理加算

<加算項目増・加算単位90単位増のプラス>

 

i)加算単位

a)1月につき90単位を加算

ii)口腔衛生管理の充実と口腔衛生管理の評価

a)歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、職員に口腔ケアに係る技術的助言を行っている場合等に口腔衛生管理の評価を行う加算を創設。

iii) 口腔衛生管理加算の要件

a)別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして都道府県知事に届け出た指定障害者支援施設等において、次に掲げるいずれの基準にも該当する場合に、1月につき所定単位数を加算。

イ 歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、入所者に対し、口腔ケアを月 2回以上行うこと。

ロ 歯科衛生士が、イにおける入所者に係る口腔ケアについて、施設従業 者に対し、具体的な技術的助言及び指導を行うこと。

ハ 歯科衛生士が、イにおける入所者の口腔に関する施設従業者からの相 談等に必要に応じ対応すること。

b)上記の場合で口腔衛生管理体制加算を算定していない場合は非算定。

 

2−7)補足給付に係る基準費用

<基準費用増のプラス>

 

i)補足給付の基準費用額の見直し評価

  1. a) 補足給付とは

ア)施設入所者の食費や居住に要する費用(食費・光熱水費)については、低所

得者に係る負担を軽減するため、基準費用額(食費・光熱水費に係る平均的な

費用の額)から、所得に応じた負担限度額を控除した差額を「補足給付」 とし

て支給

b)補足給付の基準費用額について、令和2年障害福祉サービス等経営実態調査

結果等を踏まえて見直し評価。

[現 行] 基準費用額 53,500円 →  [見直し後]54,000円

 

1−6)処遇改善加算

 

1−6−1)福祉・介護職員処遇改善加算(I)-(III)

<加算率0.7-1.7%増のプラス>

i)加算単位

イ (I) 所定単位数 × 8.6%

ロ (II) 所定単位数 × 6.3%

ハ (III) 所定単位数 × 3.5%

ii)要件

a)福祉・介護職員数、加算率、算定要件の一つ「職場環境等要件」

ア)諸条件については、居宅介護と同様。

 

1−5−2)福祉・介護職員等特定処遇改善加算

<加算率0.2%増のプラス>

i)加算単位

a)所定単位数× 2.1%

ii)要件

a)更なる取得促進、配分ルール、加算率、算定要件の一つ「職場環境等要件」

ア)諸条件については、居宅介護と同様。

 

1−5−3)福祉・介護職員処遇改善加算(IV)-(V)及び

福祉・介護職員処遇改善特別加算

<加算項目減のマイナス>

i)廃止

a)諸条件については、居宅介護と同様。

 

2)減算

 

2−1)身体拘束廃止未実施減算・要件追加分

<減算項目増・減算単位増のマイナス>

i)減算単位

a) 1人1日につき5単位を減算(令和5年4月から適用)

ii)その他諸条件については療養介護と同様。

 

(2)組織経営への影響

 

1)正の影響

a)基本報酬、療養食加算、経口維持加算、口腔衛生管理体制加算、口腔衛生管

理加算、補足給付に係る基準費用、福祉・介護職員処遇改善加算(I)-(III)、

福祉・介護職員等特定処遇改善加算

 

2)負の影響

a) 福祉・介護職員処遇改善加算(IV)-(V)、福祉・介護職員処遇改善特別加算、

身体拘束廃止未実施減算・要件追加分

 

3)影響不明

a)経口移行加算